昔にくらべて生徒数が増えたというイメージのある通信制高校ですが、文部科学省によると、2020年度の通信制高校の生徒の数は、5月1日時点で206,994人と発表されました。
通信制高校の生徒の数が20万人を超えるのは、通信制の制度が始まって以来で過去最高です。 少子化が進む中では、めずらしい出来事といえるでしょう。
通信制高校のメリット1:マイペース学習が可能である
時代の変化から、リモートワークやノマドという新しい働き方が定着されつつあります。
学び方が多様化するのも、自然な流れでしょう。
かつては通学制が当たり前と考えられていた高校にも、変化が見られています。
通信制高校は、1つの教室に大勢の生徒が集まる集団学習よりも、自宅の自室でのんびりと1人で学習する方が好きな人には向いている選択肢だといえます。
通信制高校のメリット2:必要な通学日数が少なくて済む
週に5日間通うのが一般的な全日制高校に対して、通信教育がメインである通信制高校は、基本的には学校へ行く必要はありません。
コースなどによっては、スクーリングと呼ばれる通学が必要なところもありますが、年に数回というものです。
多いところでも週に1回か2回程度なので、全日制にくらべると、微々たるものでしょう。
通信制高校のメリット3:全国どこからでも入学が可能な学校もある
一般的に、全日制の高校に通う場合は、地元の高校に通うことになります。
また、地元の都道府県外の高校に入学する場合は、親元の離れて学校の寮などに入ることになるでしょう。
しかし、狭域通信制高校と広域通信制高校がある通信制高校は、広域通信制高校を選べば、日本全国のどこからでも入学することができます。
広域通信制高校の中には、日本全国にキャンパスと呼ばれる学習センターを設置しているところもあり、スクーリングにも活用されています。 地元の高校に魅力を感じない人は、このような制度を視野に入れてもよいでしょう。
通信制高校のメリット4:いつでも入学できる学校がある
一律に4月入学と今っているのが全日制の高校ですが、通信制では10月スタートのコースもあります。
また、入学式をしなくてもいいのなら、いつでも入学が可能という学校もめずらしくありません。
全日制の高校に入学しても校風が合わなかったときなどには、考えてもいい選択肢でしょう。
通信制高校のメリット5:全日制にくらべて金銭的なメリットがある
通信制高校は、全日制の高校よりも費用が安いというメリットもあります。
特に、公立の通信制高校であれば、3年間の授業料が10万円もしないという学校があるのは、大きなメリットに感じる人も多いでしょう。
さらに、制服代や部活動などにかかる費用も一切必要ありません。
家庭の事情などで、アルバイトをしながら学業も両立させたいという人にとっては、有難い制度でしょう。
通信制高校のデメリット1:勉強を継続するためには強い意思が必要
メリットの多い通信制高校ですが、デメリットも存在するのは事実です。
学習を継続するのに本人の強い意思が必要なのも、その1つでしょう。
全日制であれば先生の目が届き、切磋琢磨する同級生の存在もありますが、通信制では環境がまったく違います。
1人の高校生の力だけでは、限界があるかもしれません。
時には、家族のサポートが必要なこともあるでしょう。
通信制高校のデメリット2:友人をつくる機会に恵まれにくい
1人で学習することがメインの通信制高校では、人と触れ合う機会が極端に少なくなりがちです。
学校の人間関係が嫌で通信制を選んだ生徒には嬉しい環境になりますが、別の理由の場合は、孤独感に悩まされることもあるでしょう。
そのような時の対策方法として、途中からでもスクーリングの日数を増やすことがあります。
先生のほかに同級生とも接することで、同じような悩みを分かち合えるかもしれません。
通信制高校のデメリット3:大学進学は難しいという意見もある
文部科学省の学校基本調査では、全日制や定時制の生徒で大学などに進学した人の割合は約54.7パーセントで、通信制では約18.5パーセントだったというデータもあります。
このデータ結果だけで通信制は大学進学に不利だとは言い切れませんが、通信制は大学進学に不利な要素があるのは事実です。
通信制高校には勉強のレベルが高くないところが多く、レポート作成で単位を取得できる制度では、大学受験レベルの知識を身につけるのは難しいのかもしれません。
しかし、あきらめる必要はありません。
塾や予備校、家庭教師を利用することによって、大学に入学できるくらいの学力は十分に身につきます。
また、就職に関しても同様で、学校のほかに、ハローワークや就職エージェントを活用するという方法もあります。
通信制高校のデメリット4:学習のペースが予定よりも大幅に遅れることもある
時間割が決まっている通学制に対して、通信制では生徒本人が学習の予定を立てます。
どうしても意思が続かずに、なまけがちになることもあるでしょう。
本人に任せきりにするのではなく、学習の進捗状況などを家族がこまめに確認することも、大きな励みになるかもしれません。
通信制高校のデメリット5:全日制よりも劣っているという偏見がある
通信制高校を、全日制高校よりも下に見る人がいるのは事実です。
しかし、古臭い考え方なので、徐々に薄れていくでしょう。
これまでの競争社会が崩れつつある中で、さまざまな生き方が出てきました。
キャリア官僚を辞めて地方に移住し、田舎暮らしを満喫している夫婦もいます。
通信制高校は劣っているという考え方は、偏見以外の何物でもないので、まったく気にする必要はありません。
通信制高校は、多様化する生き方の1つ
生き方や働き方が多様化している時代においては、学び方も多様化すると思われます。
これまでような偏差値教育は次第になくなり、高校に行かないという選択肢も普通になるかもしれません。
メリットもデメリットもある通信制高校は、多岐にわたる選択肢の1つです。
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